挨拶で部下を評価するのは危険。挨拶を強要する組織に巣食う、ラベリング症候群。
挨拶の重要性
ビジネス関係のセミナーに参加すれば、必ずと言ってもよいほど挨拶について学びます。
挨拶は、それだけ重要なものなんですね。
例えば、このあたりなんか鉄板。
【メラビアンの法則】*1
【ハロー効果】
挨拶は「心」それとも「道具」
まあ、人間の心理を逆手にとっていますよね。
人は第一印象や見た目に引っ張られるんだから、挨拶や身だしなみをしっかりしていたら、相手に良い印象を与えられるという話です。
でも、これって不純ですよね。
「第一印象で人の心を転がす手段」として使う。
私は、身だしなみや挨拶といった第一印象は、上っ面だけのモノだからあまり意味がないと考えています。
しかし、一般的にはそうではありません。
メラビアンの法則やハロー効果といった、人の心理作用の仕組みを学んだ上でなお、職場での挨拶を、その人の内面の表れみたいに認識している人は多いです。
そして、職場で挨拶ができない人に対して、「ツールを使いこなせていない」と評価するのではなく、「挨拶できないから仕事ができないダメなヤツ」と、そのままその人自身の評価に結びつけてしまいます。
挨拶は、職場での人間関係を円滑にするツールです。
人間や仕事を評価するツールやスケールではありません。
ここを誤解しているから、捻じれるんです。
挨拶で能力を推し量れるのか
こんなエピソードがありました。
ある年度はじめ、会社の飲み会で「新人職員の中で誰が一番有望なのか」というネタで盛り上がりました。
多くの職員が、職員Aの名前を挙げました。
理由は、「しっかり挨拶できる」からです。
しかし職員Aは、仕事に慣れた半年も経った頃には、「遅刻をする」「書類提出が遅い」というレッテルを貼られていました。
レッテルを貼ったのは、有望株として職員Aの名前を挙げていた者たちです。
また、こんなエピソードもありました。
ある年度はじめを控えた3月下旬、入職を控えた職員Bが「4月からお世話になります」的な内容の手紙を職場に送ってきました。
「職員Bは有望株だ」と、多くの職員が感心しました。
しかし入職してみると、典型的な指示待ち族のクレクレ君でした。
結局、数年働いて退職しました。
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表面上の挨拶を求めたところで誰得なのか
どうでしょう。
上記のエピソードからもわかるように、人は挨拶にコロッとダマされます。
このあたり、儒教思想や宗教の影響なのでしょうか。
だとすれば、映画「ゴッドファーザーⅢ」の、ある場面を思い出します。
【引用させていただきました】
キリスト教の偉い人が、水瓶の中に敷かれている小石を取り出しました。
そして、小石をコンコンと水瓶に叩きつけ、2つに割れた小石を主人公に見せて言いました。
「ヨーロッパは、この水に濡れた小石と同じ。表面はキリスト教に染まってるけど、内面には全く浸透していない。。。」
これを挨拶に置き換えるとどうでしょう。
社会全体に挨拶の文化は浸透していますし、世界各国挨拶の言葉は存在します。
ということは、挨拶は全世界的に必要とされているということになります。
しかし、映画の小石のように、表面上は挨拶したとしても内面は。
ラベリングとは
ラベリング理論を知っていますか。
【引用させていただきました】
「しっかり挨拶のできる良い子だったよ」
「挨拶もまともにできないダメなヤツだった」
これ、単なるラベリングです。
そろそろ、挨拶を評価ツールとして使うのをやめませんか。
私の考えには、反論が飛んできそうです。
「表面上とは言え、挨拶しなければ雰囲気悪くなる。それをわかっていて、付き合い上でも挨拶できないのであれば社会人失格」
「挨拶しなければ雰囲気悪くなるのがわからない時点で社会人失格」
その通りだと思います。
私もそこはわかっています。
「意味ないけどやった方が良いこと」は、世の中にたくさんあります。
挨拶もその一つです。
しかし、職場の人間を振り返ってみてください。
よくよく考えたら様々ではないですか。
- 挨拶できて仕事もできる。
- 挨拶できるが仕事はできない。
- 挨拶できずに仕事もできない。
- 挨拶できないが仕事はできる。
- 挨拶できるが仕事は普通。
- 挨拶できないが仕事は普通。
これつまり、挨拶では部下を評価できないことを示しています。
血液型で性格を断定できないのと同じです。
挨拶も血液型別性格診断も、単なるラベリング。
挨拶を強要していませんか
挨拶で人間を評価する組織は、挨拶しない人間を排除する雰囲気が醸成されています。
そんな雰囲気で圧力をかけるのはいかがなものでしょうか。
そもそも、挨拶は強要するものでしょうか。
私は、「本来、心から表れるべき言動」を強要すべきではないと考えています。
なぜなら、下の記事のように、強要による弊害があるからです。
まとめ
挨拶は、コミュニケーションを円滑にします。
その為の優れたツールです。
先手必勝で、ドンドン挨拶しましょう。
ただし、「挨拶をしない」「挨拶ができない」職員がいた場合、それは単に、世渡りが下手なのか、あなたが嫌いなのかどちらかです。
決して、「挨拶できないから仕事もできないダメなヤツ」といったラベリングをしないようにしましょう。
挨拶できない職員が可哀想だからではありません。
あなたが部下を評価する時に、うわべに騙されずに適正な評価ができるようにするためです。
人間は色んな側面を持っています。
それを知ったうえで評価しましょう。
あなた自身のためにです。
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*1:メラビアンの法則は、誤った解釈が浸透し市民権を得ている。ビジネスセミナーでも、誤った解釈に基づいたメラビアンの法則が頻繁に使用されている。