大晦日に放送された総合格闘技「RIZIN」は、何をどうしたかったのか
日本の総合格闘技が復活の狼煙をあげた
年末に日本の総合格闘技が復活した。
かつて、日本の総合格闘技を引っ張り、世界基準になったPRIDE。
あれからもう10年。
今、日本では総合格闘技について口にする人はいない。
一方アメリカでは、総合格闘技がメジャースポーツに食い込む程の人気を博している。
そんな中、日本の総合格闘技を復活させるべく開催されたのが、「RIZIN」だ。
「RIZIN」は、総合格闘技をイベントではなく「競技」として成功させるといったコンセプトでスタートした。
私は、29日に放送された試合を観てガッカリした。
それについては、この記事で触れている。
やはり「残念」なイベントに終わった
何がガッカリしたかと言うと、「RIZIN」をイベントではなく協会として運営するといった理念が、完全に置き去りにされていたからだ。
PRIDE時代の「悪いクセ」はまったく抜けていなかった。
「階級無視」と「ネームバリュー最優先」のマッチメイク。
31日の放送を観ても、それは変わらなかった。
曙VSボブサップ、ピーターアーツVSバルトの試合、やる意味あったのか。
あの見苦しい試合で、誰が得したのか。
誰も得しなかったのではないか。
「何のための協会」「何のための競技化」なのか。
UFCと比較するのも気が引けるが、UFCではヘビー級でも確かな技術を持っている選手しか勝ち残れない。
ネームバリューは、実力があってはじめて価値が出るものだ。
この動画を観れば、言いたいことが伝わるだろう。
見た目は完全に「力頼り」にしか見えないビッグフットでさえ、打撃も寝技もこれだけの技術を兼ね備えているのだ。
また、このマークハントをみて、誰が「昔Kー1で強かったけど、今では名前だけの選手」と言えるだろうか。
【動画はコチラ】
女性ファイターの試合もそうだ。
ギャビ・ガルシアvsレイディー・タパの試合。
体格がまるで違うことに違和感を覚えないのか。
また、レイディー・タパについては、ラッシュをかけられると半身になって後ろを向くなど、打撃初心者がやるような逃げ方をしていた。
ギャビ・ガルシアにしても「シウバを絞め落とした」などと謳われていたが、試合慣れしていない感じがモロに出ていた。
いかにもビッグマッチであるかのように煽るのであれば、こういう試合を期待してしまう。
選手は悪くない。運営がもっとしっかりするべき
ここで、誤解が無いようにしておきたいが、私は選手を尊敬している。
勝った選手も負けた選手も立派だ。
私は、アマチュア以下だが実際に総合格闘技をやっている。
だから、彼、彼女たちが、どれだけスゴいことをしているのかわかる。
私が、どうにも複雑な心境になってしまうのは、運営についてだ。
総合格闘技が好きだから、今度はブームではなく、競技として浸透させて欲しかった。
理念だけは立派だが、やっていることは結局PRIDEの悪い部分を前面に出した格闘イベントだった。
唯一認められる部分は、オープンフィンガーグローブがミリタリーっぽくて、UFCのものよりもオシャレだという点だ。(完全な主観だが)
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「RIZIN」を改善するには
とは言え、文句ばかり言ってもはじまらないので、いくつか提案させてもらいたい。
今後、日本の総合格闘技を競技化させるのであれば、フジテレビは「修斗」を全面的にサポートするべきだ。
大人の事情で、どうしても自前で協会を立ち上げたいのであれば、次のことを実施して欲しい。
・K-1の亡霊をいつまでも引きずらない。
➡試合は、男性と女性の総合格闘技ルールのみでおこなう。
・客寄せパンダを排除する。
➡階級軽視の概念を徹底的に改めて、階級に基づいたマッチメイクをおこなう。
➡実力に基づいてランク付けし、ランキングに基づいたマッチメイクをおこなう。
・ロープをつかんでもOKにする。
➡ロープをつかむのがダメなら、そもそもリングにするな。ゲージに変更しろ。
・トーナメントを中止する。
➡不確定要素を排除し、実力重視にする。選手を大切にする。
・その他
➡ファイトウェアブランドをサポートする。
日本の総合格闘技を「RIZIN」を通じて、イベントではなく協会として競技化したいのであれば、上記のことをすれば良いと断言する。
ただ、久しぶりにテレビで総合格闘技に触れることができて、とても嬉しかった。
身体に鞭打って試合をしてくれた選手とフジテレビ、その他関係者には本当に感謝するし、これからももちろん応援する。
おわり
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