感情任せの言葉が行き着く先を考えてみた
感情任せの主張は「意見」ではない
私は、感情任せで意見を主張しないように意識しています。
感情任せで発する主張ほど、カッコ悪いものは無いからです。
後先考えずにワーッと主張して、反論された時の「うっぅぅ・・・・」という感じが、たまらなく間抜けに見えます。
意見として成立していないから、反論された場合に、次の一手もう次の一手が出ないのです。
感情任せの主張は、単に感情を言葉にしているだけで、「意見」ではないのです。
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順番をめぐっての、とあるやり取り
河川敷にミニサッカーができるスペースがありました。
管理が行き届いておらず、放置状態のスペースです。
そのため、いくつもの草サッカーチームが練習場として使用していました。
使用権は「早い者勝ち」です。
いつものようにそのスペースで練習していたら、あるチームがやって来て言いました。
相手:「このスペースを使わせてほしいのですが」
私:「○○時頃になるけど良いですか」
待ち時間の長さを不満に感じたのでしょう。
相手:「いや、でも許可とって使ってないんでしょ!」
私:「あなたのチームは許可とったのですか?」
相手:「とってないけど!」
私:「じゃあ何で許可どうこうの話するの?」
相手:「いや、正式に許可取ってないのなら、誰が使ったって良いでしょ!?」
私:「そう。だから我々が使っているの」
相手:「こっちにだって使う権利あるんじゃないの!?」
私:「iPhone買うために一番前で並んでるヤツに対して、正式な許可が無いんだからそこどけって言ってるのと一緒だぞ」
私:「あなた、いつもその調子でラーメンの行列に割り込むのか?」
私:「自分の子供が他人のおもちゃを横取りしたら、どうやって叱るつもりなの?」
相手:「子供なんていないし!」
私:「文脈を理解できないの?」「この話の流れで、子供いないって反論することに何の意味があるの?」
相手:「うっぅぅ・・・・」
私:「順番っていう観念持ってないの?」
相手:「・・・・」
「感情=本音、意見」という、ありがちな勘違い
「ケンカするほど仲が良い」という、典型的な認知的不協和の解消フレーズがあります。
いやいや、仲が悪いからケンカするのです。これ事実です。
では、「ケンカするほど仲が良い」という言葉が言わんとしていることは何でしょう。
「本音で付き合えるほど仲が良い」ということではないでしょうか。
ここでポイントとなるのが「本音」です。
仕事でも恋愛でもそうです。「本音でぶつかり合おう」「本音で付き合おう」
「本音」って何でしょう。
自分の心の中を装飾せずに発信したら本音になるのでしょうか。
私は違うと思います。
心の中をそのまま伝えたら、とてもじゃないけど使い物になりません。
相手にぶつけるには、加工が必要です。
そして加工するには技術が必要です。
加工してこそ「本音」になるのです。
加工もせずに、そのままぶつけ合ったら、ケンカになるのは当然です。
「あれ、おかしい。胸の内をそのままぶつけたら彼が怒ってケンカになる」
「でも、大丈夫だよね。ケンカするほど仲が良いっていうし、気を遣ってたら本当の恋人同士じゃないってみんな言うし。大丈夫だよね?大丈夫だよね?」
「本当の気持ちをそのまま発信したら伝わる」という思い切りが良すぎる勘違い。
スポーツにしても芸術にしても自分を表現するには相当な技術が必要です。
技術を身につけるために限界まで練習しています。
自分の「本当」を表現したいのであれば、技術を身につけましょう。
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まとめ
感情任せの言葉が行き着く先は、わがままでしかありません。
交渉事には交渉事の、会話には会話のルールが存在します。
わがままを「本音」だ「意見」だとカッコつけて言い換えたところで、交渉事にも会話にも通用するはずがありません。
「ケンカするほど仲が良い」
「気を遣って何も言えないのはつまらない」
言葉を加工するのは、気を遣うからではありません。
寸分違わず誤解の無いよう伝えるために、加工するのです。
魚は、鮮度を保つために、血抜きしたり絞めたりして加工しています。
海からそのまま店頭に並んでいるわけではありません。
「言葉」の生食は危険です。加工処理をおすすめします。
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